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FOVEは2014年5月にゲームプロデューサー小島由香さんとオーストラリア出身のエンジニア ロックラン・ウィルソン氏が創業した日本発のスタートアップ企業。視線トラッキング技術とバーチャル・リアリティ(VR)技術を組み合わせたユニークなVRヘッドマウントディスプレイ(HMD)「FOVE」を開発しています。ちょうど、6/4までKickstarterでクラウドファウンディング中で、すでにプロジェクトは成立。2016年5月の製品出荷予定で先行価格での予約を行っています。
まだ日本には1台しかないというFOVEの試作機を体験してきました。
ちなみに写真でFOVE試作機をつけているのはロックラン・ウィルソン氏。

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私は、Oculus Rift DK2を買ったり、Tobii Technologyのアイトラッカーを何度か試したりしたことがあるので、それぞれの面白さや成熟度を体験していますが、VR HMDと視線トラッキングを組み合わせるとどうなるのか、興味津々でした。

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プロジェクトマネージャーの金子大和氏は、視線トラッキング技術をVR HMDに取り入れることで、既存のVR HMDの欠点を補完し、新しい可能性を切り開くことができる可能性があるとのこと。
まずは、VR HMDでの頭の移動、コントローラー入力、音声入力、ジェスチャーなどでのコントロールに加え、より簡単で精度の高い視線でのコントロールが可能になります。

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これについては、視線で敵をやっつけるゲーム(目からレーザーが放たれる感じ)を体験することができましたが、かなり正確に見つめたところにレーザーを発射することができました。頭の動きに加え、視線で目的のものを狙えるというのは考えていたよりも良く自然な感じ。視線トラッキングの精度はアイトラッカーなどと比較してもかなり良いと感じました。

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最初に視線のキャリブレーションが必要で、HMDがずれてしまうと視線もずれてしまい、キャリブレーションからやり直す必要があったりしました。HMDをさらにしっかりとフィットさせる工夫を加える必要があるとか。

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視線トラッキング装置は見えないところにあるそうですが、細いメガネをかけているとメガネが干渉して視線トラッキングができないなどは少し残念。アイトラッカーを使っていた時もメガネが精度を悪くしたり、メガネと視線トラッキングの相性は良くないみたい。

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視線入力でピアノを弾いたりなんかもできるそう。

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Oculus Riftを使っていた時に使っていると気持ち悪くなっていたのですが、これはVR酔いと言うそうですね。フレームレートやレイテンシーの問題かなと思っていたのですが、その原因の一つにVR HMDは画面中心を見ているという想定で描画されているので、中心以外を見た場合はズレが発生して気持ち悪さを感じるそう。
視線トラッキングを行うことで、どこを見ているのかまで考慮して描画できるので、それを改善できるそう。
さらに、どこを見ているのか分かることを利用して、見ている対象以外をぼかしたりして、より自然に目が疲れなくしたり、

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見ている対象以外のレンダリング精度を落としてレンダリングに必要となるコンピュータ能力を軽減するということまで考えているそう。
確かにOculus Riftではかなりのコンピューティング能力を必要としていたのですが、これが普通のノートパソコンやスマートフォンくらいの能力で表示できるようになれば、劇的に使いやすくなりますね。

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もう一つは視線をコミュニケーションに使うということ。VRでのキャラクターとのコミュニケーションに視線という要素も取り入れ、見つめたら笑顔を返すなどのリアクションを組み込むことが出来ます。

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ゲームだけでなく医療用途なんかも考えられます。そういえばVRの終末期医療への応用はソードアート・オンラインⅡでも描かれていましたね。

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VRと視線トラッキングの組み合わせにはとても可能性を感じました。短い体験だったので、酔いの軽減効果などは分かりませんでしたが、精細さはOcculus Rift以上で見やすく自然に感じました。

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まだ試作機で、メンテナンスを加えつつの体験でしたが、金子氏は、将来的にはVR HMD界のアップル、簡単につなげて誰もが使えるシンプルなデザインの製品を目指しているとおっしゃられていました。VR HMDでは珍しい白色の製品にしているのもそのためだそう。早くそれが実現して欲しいです。

デザインにこだわったFOVEは7/7まで南青山の「INTERSECT BY LEXUS – TOKYO」にて開催中のイベント「DESIGN ENTREPRENEUR SHOWCASE」内でも展示されているそうです。


KickStarter: FOVE: The World’s First Eye Tracking Virtual Reality Headset

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