昨日はデジタルハリウッドで「株式会社白組による映画『STAND BY ME ドラえもん』キャラクターCGメイキングセミナー」を聴いてきました。
昔、CGとかかじっていたことがあるので、あのSTAND BY ME ドラえもんがどのように制作されたのかなど興味があったので。
監督の八木竜一氏、アートディレクターの花房真氏、CGスーパーバイザーの鈴木健之氏から裏話を含めた詳しい製作の過程や試行錯誤などの話があり、とても興味深いものでした。
ドラえもんに詳しい上の子から、ここにかなり書いてあるよと教えてもらいましたが、さらにスケジュールやチーム、プロセス、製作環境、工夫に至るまで細かく教えて頂きました。
3Dキャラクター作成のコンセプトはリブートで大人の美化を埋める。原作のイメージを怖さず立体化することにこだわったそう。色々なチャレンジで可能性を探った話や髪の毛や身長のバランスなどの少しの違いでキャラクターの印象が大きく変わる話、ポコ・服ポコ・髪型など原作の特徴を3Dキャラクターに盛り込む努力などなどとても面白かったです。のび太は優等生に見えてしまう問題があったそうですが、髪の長さを少し短くするだけで少し間抜けにみえたり、しずかちゃんのかわいさに素朴さを加えるのもほんの少しの髪型の違いだったり。
ひみつ道具は未来の家電をイメージしてデザインされているとか。初めはドラえもんも未来の家電をイメージしてデザインしたが反対され、結局は登戸駅にあるドラえもんの銅像が原型になっているのだとか。
どこでもドアのノブは光るデザインだったけど光らせるのを忘れたそうw
街は実は少数の家のモデルを組み合わせてそれっぽく作られているとか、キャラも主要キャラの派生だったり。髪は別にレンダリングして合成しているとか、色を合わせるためにチェック用ライトでレンダリングして確認すると良い、色についてはライティング・コンポジットなどどちらで実現するにせよ一人が管理することでやりとりを減らしたなどの工夫なども。
3Dに関しては、全826カット中、184カットをステレオでレンダリング、642カットは2Dレンダリング→3D変換で作成したそうで、雪やムシスカンのオーラ、半透明なものなど3D変換が難しいもの、飛び出し効果を強調したいものをステレオでレンダリングしたのだとか。3Dで良く見えるようにするためには、カメラをいじると全体的に変更になるために、キャラクターのモデルの方をいじったりしているそう(手を大きくする、前景を変形させるなど)。
3Dの見え方に関しては個人差があるので、映画館同様に円偏光メガネで同時に多数の人が確認できるJVC GD-463D10がとても役に立ったとか。これで痛くないギリギリの効果を狙ったそう。
ちなみに使用ソフト、プラグインは下記らしいです。
Autodesk 3ds Max 2012, V-Ray, Hairform, Genome, MultiScatter
Adobe AfterEffects CS6, Mari, Mudbox
STAND BY ME ドラえもん(ブルーレイ豪華版) [Blu-ray]
ちなみになぜブルーレイで3D版が出ないのかは監督の八木氏もわからないとのこと。3D版出してほしいな。