EXOFIELD ヘッドホン再生でも音楽制作者の想いが伝わる 人それぞれの耳に合わせてカスタムメイドする技術

JVCケンウッドが長年の開発の末、実現した頭外定位音場処理技術「EXOFIELD(エクソフィールド)」。通常ヘッドホンだと頭の中から音が聞こえているように感じますが、それをまるで音源がその場にあるように頭から離れた位置から聴こえるという技術です。
その技術を使った新製品はまだ未発表の段階ですが、実際どのように聴こえるのかを体感するイベントに参加してきました。場所は音楽制作の聖地「ビクタースタジオ」。音楽制作側のこだわりとそれをヘッドホンでも伝えられるようする技術。音楽にかける半端でない想いが詰まったイベントでした。

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ヘッドホンでスピーカーを使ったように音が聴こえるようにしようとしても、音が聴こえる位置がはっきりしない(定位しない)のは、耳の形(耳の穴の形も含む)が人それぞれであるためだそう。逆にその人の耳の特性を測定・解析すれば、音の定位が実現できることは昔の文献などでも分かっていたとか。


EXOFIELDの開発者が、10年前にこれからはヘッドホンの時代だからとその企画をすることになったとき、ヘッドホンでもスピーカーで聴くような音場を実現できないかと開発を始めたが、人それぞれの特性を解析する計算にとても時間がかかるのがネックで断念。
2012年には、その特性計算を自動化することができ、測定・デモを行ってユーザにアンケートしたところ、測定してでもちゃんとした音で聴きたいという反応も得られたが、商品化の目処がたたず中断。
2015年にデモのときの記事が出て、この技術に注目が集まり、ようやく商品化に至ったという不死鳥のような技術です。


今回は、ビクタースタジオで音楽制作の最終確認に使われるEX-ROOMの2chのスピーカーの音場をスタジオモニターヘッドホン「HA-MX100-Z」で再現するというEXOFIELD技術の体験をさせていただきました。


このような聴診器のようなマイクで耳の中の音を測定します。
まず、再現したい音場の環境で、ちょうどAVアンプでのサラウンドスピーカーの音量自動設定のときのようなテストトーンをスピーカーから出し測定します。


そしてマイクをしたままヘッドホンを装着し、ヘッドホンからのテストトーンを同様に測定します。


その測定結果から個人特性のデータを作成します。
ヘッドホンは測定したときとなるべく同じように装着する必要があるため、装着ずれが起こりやすいインナーイヤーヘッドホンへの応用はその測定方法を含めまだ課題があるとか。


測定した特性を使っての音楽再生は、スマートフォンアプリでも実現できるため、持ち運んで同じ音場を再現できるそう。
基本的に耳の形はほとんど変化しない(成長過程の子供以外)ため、一度測定すればずっと使えるとか。


音楽はハイレゾにも対応。
今回は2chの音場の測定を行いましたが、5.1chの音場の測定なども可能だそう。

測定後、EX-Roomのスピーカーとヘッドホンで同じ音楽(ジャズボーカル)を試聴しました。
スピーカーでの音はまさに前にボーカリストが立っているかのような感じでしたが、EXOFIELDオフでのヘッドホン再生では頭のなかからボーカルの声が聞こえます。
EXOFIELDをオンにすると、それが見事にスピーカーで聞いたのとほぼ同じ位置から聴こえるように感じます。ヘッドホンなのにスピーカーで聞いているような明確な定位を感じられるというのは体験してみないと分からないかもしれませんがとても良いです。

新商品はまだ発表されていないので分からないですが、やはりネックは測定ですね。AVアンプの測定のようにヘッドホンにマイクを付属させて、自分の再現したい環境でセルフ測定するのかと思いましたが、きちんとした位置にマイクを配置する必要があるそう。
やはり測定ルームみたいなのを設けて、使うヘッドホンを持ち込んで測定データをスマホのEXOFIELD対応プレーヤーに配信するサービスとかかな。新商品のヘッドホンとセットとかかも知れませんが。ぜひEXOFIELDで電車移動中などに快適な音楽を楽しんでみたいな。
VRの中の人や音源の位置からちゃんと声や音楽が聴こえたりするリアルなVRゲームなんてのも面白そう。ヘッドホンで音が聞こえる方向に進むと目的地に到着するナビなんてのも。とか色々妄想が広がりますね。


イベントが開催された「ビクタースタジオ」は、ビクターだけでなくレベールの垣根なく使える音楽制作の聖地。
ウッドコーンスピーカーEX-AR9のイベントで6年前に訪問しましたが、今回は301スタジオの見学ができました。


ビクタースタジオの特長は8つ。それぞれ音響空間を個性化しており同じものがないのが一番の特長だそう。
その中でも一番大きく、音楽制作の原点となるのが301スタジオだそう。
60名ほどのミュージシャンが生楽器を同時に演奏してレコーディングできるため、短時間でグルーヴ感のあるレコーディングができます。
スタジオにはブースがたくさんあり、別々にマルチトラックレコーディングができるようになっています。
一番広い部屋はちょうどよく音が混じって響くように設計されています。


こちらもついたてで仕切ることができます。
さらに3つの小部屋にすることも。


こちらはドラム用のブース。音はあまり響かないように鳴っています。
となりはパーカッション用のブース。どのブースからも指揮者が見えるようになっています。


ピアノ用のブースには、スタインウェイ製のフルコンサートグランドピアノがあります。ピアノは持ち込みが簡単にできないので、ピアノの良し悪しがそのスタジオの顔になるため、使用量は1回5000円ですが、購入価格は1450万円だとか。


ブースの壁は動き、ピアノだけの演奏のレコーディングの場合、中心の部屋に出して使うこともできます。


301スタジオ常設のマイク。引き出しの中にもたくさん入っていますが、さらにストックルームに20倍ほどのマイクがあるそう。
どの楽器にはどのマイクという決まりはないが、マイクによって個性があるため、その時の録りたい音の好みで選択するものだそう。


真空管マイク NEUMANN M49
低音を豊かに表現できます。


すでに販売していないものなので、製品の保管には細心の注意を払っています。
製品の補充はネットオークションとかでするそうで、電源・コードとセットで約100万円だとか。


ダイナミック式マイク SHURE SM57
出音が大きくて歪まない。1万5千円ほど。
カラオケとかでも使われているマイク。


真空管マイク NEUMANN U67 60-70万円
トランジスタマイク NEUMANN U87 20-30万円
見た目は同じように見えるが、特徴は全く異なる。
U67は中高域に芯があり伸びがある。
U87は基準になるマイク。


SCHOEPS
AKG K451
これも同じように見えるが全く違うマイク


さらにケーブルも種類によって音の特徴が違うそう。
長さは短い方がピュアな音になるためできるだけ短くセッティングするそうですが、長さが色で分かるように色分けした特製のケーブルを使っているそう。


こちらはマスタリングスタジオ。


マルチトラックレコーディングされたそれぞれの音を調整して、音楽として完成させていきます。


イコライザーで音質を変えて、リバーブで音場を表現、それぞれのトラック音量のバランスをとります。


神業のように調整するミキシングのデモしていただきましたが、実際には丸1日かかったりして音を調整したりしているそう。

演奏する場所の音響空間、それぞれの音を録るマイク、ケーブルのセッティング、さらにそれを組み立てるマスタリングととてもこだわり抜いて作られたプロの音楽。
気軽にヘッドホンで聴くのも良いですが、やはりヘッドホンでもそのこだわり・こめられた想いが伝わるように聴きたいですよね。EXOFIELD技術はそのためのものですね。

JVCケンウッド、ビクタースタジオ、WillVii、モノフェローズの皆様、ありがとうございました。

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