SONY VAIO X 紙のノートのようなPCを作りたいとの想いの結晶


10/8にソニーVAIOの秋モデルが発表になりましたが、その日の夜に銀座ソニービルで開かれたモノフェローズ向けのVAIO Xシリーズ先行体験会に参加してきました。
開発責任者 林さん、商品企画 星さん、デザイナー 森澤さん、マーケティング 岩井さんといった豪華な面々からVAIO Xシリーズの誕生までの軌跡を伺いました。

このレビューはWillVii株式会社が運営する レビューサイト「みんぽす」から招待されたセミナーに参加して書かれています。
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VAIO NOTE 505, VAIO type 505 EXTREME, ノート

VAIO NOTE 505の頃のインパクトやtype 505 EXTREMEのようなダントツの商品を作れているのか?
本当に持ち歩けて実用性の高いものを作れているのか?
そんな疑問がVAIOの開発者にはあった。

開発責任者 林氏

VAIO設計者の理想である”本当に持ち歩いて使える紙のノートのようなPC”を今度こそ作りたい。
軽くて薄いのは当然だが、使用時間や使い勝手が犠牲となってはいけない。
パッテリは9〜10時間クラスは必要。部分的な薄さではなく、フルフラットで薄くする。LCDが11インチでビジネスユースに耐えること。ディスプレイやインターネットの端子などユーザが困るような機能の省略をしない。
紙のノートを目指して、究極の形が見えて来た。

とっても軽くて薄く丈夫なカーボン外装

モバイルに振った低消費電力CPUのAtom Zシリーズ 、カーボン・LCDなど外部メーカーとの共同開発、積み重ねてきた製造技術・・いよいよチャンス到来。

キーボードや重さまでしっかり作り込まれたモックアップ

こんどこそ完成系を目指して。
欲しいものは自分で作ってしまえと、有志が集まってモックアップを作成。
作りたいものは自分で提案してしまおう、それがソニーの文化。
企画/マーケティングの同志を募る。
端子、本当に入るんですか?
入れると決めている。うちの設計チームならできる。
トップマネジメントにプレゼン。
難しい交渉だったが、モックアップを見せて感じてもらう。
本当にできるのか?できるならやれ!

検討していたのは本当のボトルネックの部分のみ。
それ以外は根性、設計チームへの絶対の信頼。
13.9mmって、何の根拠があって?お前らを信じているから。
無理だと妥協しそうになって企画/デザイナーに相談するが、言ったことを違えないようにとお尻を叩かれる。
それが再考のチャンスになる。

スケルトンモデル。内部はぎっしり実装。

 

基盤とファン。右側のファンがVAIO X用。

コネクタもプレス成形。デザインも妥協しない。
絶対入らないといわれていたコネクタも入った。
マザーボードは薄くするために片面実装。
今までと違った設計思想が必要になった。
パフォーマンスのためにはファンも必要。
ファンも従来の部品では実現不可能な薄さを実現。
チームで一緒に考えることでブレイクスルーを生んでいった。

デザインモック

一方で薄さの表現に悩むデザイナー。
13.9mm 本当に薄いの?

周辺部のプレス技術は日本の匠の技

理想のデザインがようやく見えて来たが、設計変更を余儀なくするデザイン。
開発期間に間に合わない。そのデザインは出さないことに。
マネジメントに出さないと約束していたモックを見せてしまう。
デザインを妥協するのはいやなので、スケジュールを妥協してよい。
常識ではあり得ない判断。
こうして今のXのデザインができた。

PCを持ち歩くときの心理的障壁がなくなってほしい。
紙のノートを持ち歩く感覚で。
VAIO XはビジネスでPCを持ち歩く人にとってベストバランスを考えた。
しかし用途も多様化している。
ほとほどのものを安くとか、こんなものでいいやとか思ってほしくない。
もっとこうしてほしいと言って欲しい。進化させていきたい。

伺った開発ストーリーをプロジェクトX風に書いてみました(もともとそんな感じでした)。
触ってみるとその軽さに感動します。剛性もしっかりしており、キーボードを打つ感触も悪くありません。

パームレスト部分はバッテリーになっています。
バッテリーは3種類で、Sバッテリー、Lバッテリー、Xバッテリーがあります。
SとLはサイズは同じで、中身のセル数がそれぞれ2セル、4セルと異なっています。
Xはサイズがかなり大きくなりますが、8セルになります。
そのため、Sで約5時間、Lで約10時間、Xで約20.5時間持つそうです。
バッテリー装着時の重さはSで約655g、Lで約745g、Xで約1045g。

こちらがXバッテリー装着時。発熱しすぎないように隙間が空いています。

Xバッテリーを装着するとキーボードが少しチルトします。
薄く軽くなって気になる信頼性などは次の記事で。
SONY, WillVii, モノフェローズの皆様、ありがとうございました。

saya: