ニッポンセレクト.comの錫のぐい呑みを作る能作さんの伝統技術鋳込みと高岡発展への想い


ニッポンセレクト.comの地域特産物の現地レポーター企画で、錫のぐい呑みを製造・販売している株式会社能作を取材させていただきました。
迫力ある鋳込み※のシーンの見学をはじめ、伝統技術に裏打ちされた生産方法、鋳造下請けから地域の会社と連携した独自商品の開発へ、高岡発展への想いなどを語っていただきました。
※鋳込み:溶かした金属を鋳型に流し入れること。また,そうして鋳物を製作する方法。



能作の工場は高岡駅から城端線で2駅の林駅からさらに歩いて20分ほどのところにあります。工業団地のようになっていて、周りには沢山の製作所などが並んでいますが、少し外れると田畑が広がるとてものどかなところです。
高岡は実は仏像、梵鐘、銅像など銅合金の鋳物の生産で日本の8割を占めるらしいです。世田谷のサザエさんの銅像もここで造られたのだとか。高岡銅器と呼ばれ、加賀藩主の前田利長が高岡城へ入城し、高岡の町を開いた際、7人の鋳物師を呼び寄せたことが始まり。
能作さんも従来は仏具、茶器、花器などを問屋から注文を受け生産する下請けの鋳造メーカーでしたが、注文数が少なくなってきていることから、10年前現社長になってから問屋との軋轢も覚悟で自社企画商品の販売を行うようになったそう。

仏具などでは真鍮(銅と亜鉛の合金、英語でbrass)を薬品で腐食させこういう味わいのある色を出すのだそうですが、

真鍮が持つ本来の奇麗な色に注目。さらにおりんや楽器にも使われる素材なので、音色が良いことからベルを商品化。
ただ、これは日本ではあまりベルを使う習慣がないことからあまり売れなかったそう。

より日本に合ったものとして風鈴を作ったところ、これが大ヒット。ライフスタイルに合った商品を開発することの重要性を知った。また、自社で商品販売することでお客様の声が直接聞けるようになったことも大きいとか。

テーブルウェアのニーズも高かったが、真鍮は食器に使えないので注目したのが錫。錫には抗菌効果もあり、食器には最適だと。
でも大阪錫器、薩摩錫器など有名な錫器がある中、どのような特徴を出すべきか。錫自体は非常に柔らかい金属なので、普通は合金にして固くするのを逆手にとり、錫100%の柔らかい錫器を商品化することにしたそう。

これは錫で作った皿で簡単に曲げることができます。曲げるときスズ泣き (tin cry)と呼ばれるパキパキという音がしますが、錫の分子が擦れ合う音で割れている訳ではないそうです。

簡単に曲がる特徴を活かしたかごなども商品化しています。

そして錫の酒器は、酸味や雑味をとり、お酒を美味しくする効果があるそうで、かどが取れ、お酒が一級上がると言われているそう。
錫のぐい呑みはこういう特徴を活かした商品なのですね。

伝統の鋳込みの鋳造技術を使っていますので、こういう細かい模様も削ることなくできます。
では、その伝統の鋳込みってどのように作るのか。実際に作っているところを見学させていただきました。

鋳込みには砂でできた鋳型を使います。鋳型に溶けた金属を流し込んで形を作る伝統的な手法です。
生産が追いつかないほどのオーダーがあるのに、このような伝統的な手法を取っているのは、多様な商品の少量生産に対応するため。1点ものなどの注文もあったりするそう。機械化してもセッティングなどに時間がかかり、余計にコストがかかってしまったりするそうです。


元の型を抜くときに型を崩さないように慎重に作業されていました。


この凸と凹を重ね合わせて器の形になるのですが、厚みにむらが出たりしないようにする必要があるとか。


これが失敗の例。厚みが薄い部分と厚い部分があります。



このようにして型を用意していきます。

そしていよいよ鋳込み。まずは真鍮から。真鍮は1300度くらいでどろどろに溶けています。


バケツに移した真鍮を先ほどの型に流し込んでいきます。


うまく型全体に行き渡るように流し込める型をつくるのがノウハウで、そう簡単ではないとか。



動画でも撮影。不純物を取り除いて、真鍮の純度を上げることが歩留まりを良くするために必要だとか。

流し入れたあと、結構すぐに固まるので、まだ熱い状態で砂を取り除いていました。



錫の方は融点は約230度。

なのでガスコンロで溶かすことができます。

錫も同じように鋳型に流し込んで形をとります。

鋳造したばかりの真鍮はこんな感じで荒いですが、これを磨きます。


最初は機械を使ってある程度削ります。



このあと職人さんが手作業で磨いていきます。

経験に基づく作業なので、ベテランになるにはかなりの時間を要するそう。



こうやってできたものを、別の工場で着色して製品になります。
製品を作るのに手作業が多く、手間がかかっていますね。

錫は柔らかいので磨くのも大変だそう。


手直しなども行われます。

倉庫には型が沢山保存されていました。木型を使っているのはコストが安いから。
種類別に分けられていますが、壁や棚に特に管理されず置かれているそうです。色の違いは木型を作成した会社の違いとか。


右は鈴の玉の型で、一度に沢山作れますが、磨いたりするのは大変だとか。

金属の型は、問屋などからのオーダーで預けられたりするそうです。

春の選抜高校野球の優勝校に送られる銅器の型

艦艇が上陸時や艦艇同士で交換する記念プレートの型なんてのもありました。


これは先ほどの錫の皿の型ですね。

能作さんで働いている人は若い人が多かったのが印象的でしたが、職人志望の若手をどんどん受け入れているからだそう。正直きつい環境で体力がひつような職場ですが、もの作りに携わりたいという熱い想いを持った人が多いとか。

特注オーダーも対応しており、記念品や引き出物などのオーダーが多いとか。
ビールジョッキのマークは鋳造時に型で付けたものらしいです。

新しい分野へのチャレンジとしては、建材への応用や医療機材への応用を考えているそうです。
建材としては壁材やシャンデリア、ブラケットに使ったり。
医療では、錫に殺菌効果や曲がる特性があることを活かして、患部に合わせて使える手術道具ができないかなどの研究を行ったりしているそう。

地元の企業とも協力して様々な商品を開発し、産地全体で高岡を盛り上げたいという想いがあるそう。まずは高岡にこのような伝統産業があることを知ってもらうために、毎週のように子供たちなどの見学を行っているそう。市民との交流が宣伝になり、ローカルがあってこそのグローバルだとか。
ぜひ、高岡を盛り上げてほしいですね。応援しています。
能作さんのショップは、パレスホテルや日本橋三越など各地にできているそうです。興味ある方はぜひ商品を見て買ってください。公式通販サイトもあります。
もちろん、ニッポンセレクト.comの錫のぐい呑みもよろしく。
能作および全国商工会連合会、AMNの皆様、貴重な機会を頂き、ありがとうございました。
高岡については、別記事で紹介したいと思います。

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