Fans:Fansの招待でAMN主催のソーシャルメディアサミット2013に参加してきました。2011, 2012に続いての参加です。
ソーシャルメディア活用事例などを元にその可能性などについてパネルディスカッションが行われる企業のマーケティング担当者向けのイベントですが、結構興味深かったので、メモ(意訳)を書いておきたいと思います。
今年からソーシャルメディアサミットは、企業視点でソーシャルメディアユーザの企業ファン(アンバサダー)化を考える「アンバサダーサミット」と、ソーシャルメディアユーザ視点で考える「ブロガーサミット」(8/24予定)の2部構成になるそうで、今回はアンバサダーサミットになります。
ソーシャルメディアといっても捉え方が幅広いので、まずはユーザの評判を獲得するEarnedメディア(ユーザのクチコミ)を指すことにし、Facebook, Twitterなどでも企業アカウントはOwnedメディア、ブログ記事広告・プレゼントキャンペーンなどはPaidメディアと考えているそうです。
マスに伝える、リーチを稼ぐ、ならマスメディアの方が良いので、マスでなく「ひとり」とコミュニケーションして、感動して「シェア」してもらえるくらいの「アンバサダー」になってもらうことを、ソーシャルメディアの価値としてAMNは考えているとか。
その上で、「グランズウェル
パネルディスカッション1-会話戦略「アンバサダーを作るユーザリレーションのために必要なこと」
左から、日本コカ・コーラの奥平氏、日本ケンタッキー・フライド・チキンの干場氏、ブロガーの四家氏。
・消費者に寄り添うコミュニケーション
日常的な挨拶を中心として、ブランド情報を発信している。
アクエリアスの冬場の水分補給についてのツイートを集めたところ、会社員、主婦、学生などそれぞれの視点で発信され様々なシーンを知ることができた。
ブロガーイベントでは貴重な体験をしたりするので、アクセスが増えたりするが、その次に繋がる継続的なコミュニケーションがないのが勿体ない。
ユーザサイドからのモチベーションを重視する必要がある。
情報を押し付けて広めてではなく、体験を提供したり、おしゃべりを続ける感覚で、ユーザが広めたくなるコンテンツを見つけるまでのコミュニケーションを行うのが良い。
・WOW!が大事
ユーザーとしては特に企業に寄り添ってもらいたいと思わない。
「メリーアクエリアス」に思わぬ反響があった。
さりげないコミュニケーションが必要。特にネタやダジャレは潤滑油。
食べ放題でソーシャルメディアのパワーを思い知ったが十分な対応ができなかった。
カーネルズバースデーのKFC1年分プレゼントでは、その反省を活かし仕掛けた。その結果約4万人のフォロワー増や自発的に思い出を語りだすなどの効果を生む事ができた。
インパクトがないとRT(リツイート)する動機が生まれない。
ブランドに対する思いはなかなか可視化されないものなので、思い出の可視化は良い事例。
・ソーシャルとマスの連動
マス広告と連動したソーシャル企画
北島選手の応援で、コンテンツを統合し自分ごと化させる一体感の演出を行った。北島選手もTwitterユーザなので、自発的にユーザのツイートを拾ったりして打てば響く感じに。
商品の特徴とタレントとがマッチするとパワーが出る。逆に突然好きとか言い出すと違和感を覚える。
消費者が気付かなかった価値を見出してくれる。
知り合いから話を聞いているとマスメディアに触れた時の感度が違う(購買につながりやすい)ので、ソーシャルからマスメディアの展開もしてみたい。ソーシャルだと仕込みに時間がかかるのとプラン設計をちゃんとしないといけないので、まだ実現できていない。
・ソーシャルメディアをやる人は自分もソーシャルであるべき
売り上げ貢献などの定量的な効果測定は難しい。
定性的に社内もファンになってもらえるようにする。
ソーシャルメディアで聴くだけではだめ。効いた事を実現する体制や社内に知らせる必要がある。
会話をファシリテイトするなど、日常でやってること。
パネルディスカッション2-活性化戦略「アンバサダーやスーパーファンは広告の代わりになるか」
森永乳業の上田氏、ライオンの中村氏、ビデオブロガーのジェット☆ダイスケ氏
・広く告げるよりは、継続して深く理解してもらう
本当のファンの方とコミュニケーションが取れる。
お礼を言われることなんてなかった。担当者のモチベーションがアップし、一体感が醸成される。
モノ軸ではなくコト軸。
多くのいいねを集めるより、少なくても真剣に考えてくれたアイデアを集めた方が意味がある。
リーチは稼げないが、せまく深くメッセージを伝えることができる。
定性的だが質は生の声を見せることで意味を感じてもらえる。
1対1の信頼関係が築けるのが理想。
・お客さんに響く情報が考えていたものと違う
メーカーサイドとユーザーサイドでギャップがある。
メーカーでは常識と思っているちょっとした情報が反響が大きかったりする。
コンテンツをシェアしてもらおうと思って用意しても、シェアしたいとは思われない。
シェアされるような面白コンテンツを作っていこうとしても、細く長くが辛くなる。担当者がソーシャル疲れになり悪いループとなる。
友達になることを目指し、宣伝をやってる感覚じゃなく友達感覚で接すれば、クチコミが広がる。
チームを組んでやっていくのが良い。盛り上げるのは以外と難しいので、同士がいないとつらくなる。
社内でブランドを愛している人を巻き込むのが良い。
・キャンペーンや各施策の母数として、ファンがたまっていく
コミュニケーションプラットフォーム化。
お客様のニーズがわかり、キャンペーンが発展していく。
アンバサダーは商材によって変わる。
・効果測定はソーシャルをやる場合、やらない場合で比較調査するしかない
ECなら効果が分かりやすいが、店舗だとミッシングリンクがある。
マスとソーシャルを併用する方が購入に至る率が高くなるのではないかという仮説を検証してみたい。
ソーシャルメディアはそれほどコストがかからないので、やった方が良いよねで通る。
キャンペーンは効果を示す必要がある。お客様の声で最適化するような定性的な効果もある。
目的は売上ではなくブランドの向上なので、そちらをリサーチしたい。
うやむやの方が良いかも。
パネルディスカッション3-支援戦略「アクティブサポートには、マーケティングとしての価値はあるか」
PFUの高橋氏、日本マイクロソフトの上代氏、NTTレゾナントの千田氏、NHN Japanの金子氏
・困っている人を見過ごせない 困っている人が増えるのも困る
放置すると使えないという評価に。問題解決してブランド批判を食い止める。
すべてに対応しようとはしていない。文字数制限のあるTwitterでしっかりとしたサポートはできない。
カスタマサポートや解決するためのコンテンツに誘導してあげる。
分からない人を助けてあげると仲良くなる。ファンになってくれる。
購入前の悩みのサポートは販売に繋がる
要望を反映して機能改善に繋げる事もしている
やりすぎない。静かなサポートに徹し、攻めず、タイミングを見つけてさりげなくサポート。
・ありがとうを言うことを目的としたアカウントを作成
日本ならではかもしれないが、お礼を言いたい。
不満に繋がらないようにプロフィールに対応時間やお礼がメインであること、対応者数を書いて、どこまで何をするかを明示。
フォロワー数は考慮していない。
・社内へつぶやきリストアップして毎日レポートしている
緊急度の高いつぶやきは直接知らせたりする。
今後は共有の頻度を上げたい。例えば3時間おきとか。
協力体制、運用の仕方を決めてやっている。
意見、要望、クレームなどをハンドリングして伝える。
サービスアカウントが多いので、ハブとなって連携する。
・KPIやゴールを明確に定めている
エンゲージメント・顧客満足度の向上を定量評価している。
ツールはグローバルのものを基本として、足りない部分を日本で用意している。
・本当に使っている人の意見を活用したい。
会話を通じて、実際に使っている想定外の組み合わせなどの情報が得られる。そういった情報をクラウドなどとの連携などに活用して行きたい。
パソコンかOSかの問題の切り分けなど、各PCメーカーアカウントとの情報共有していき、なるべく速く問題解決できるようになるのが理想。
企業間のコラボもやりやすくなっている。
パネルディスカッション4-統合戦略「ユーザーと共に創るオープンイノベーションの可能性」
良品企画の奥谷氏、デルの千歳氏、Cerevoの岩佐氏、ブロガーのいしたにまさき氏
・ユーザの意見を聞いていもらえる会社だと認知してもらうことが重要
LiveShell PROは企画開発からサポートまでソーシャルメディアの意見を反映させている
Cerevo CAMという商品に対し意見が多出し、外付けのマイクを付けたい、様々なカメラを使いたいというニーズに商品カテゴリを変え、簡単にライブ映像を流すという商品に仕上げた。(最初の製品はユーザの意見を聞いていない。聞いてもわからない。)
ソーシャルメディアの意見を聞きながらハードウェアを作る作り方はある。しかし、最初からそういう作り方を意図しなければいけない。
ユーザの層によって意見が違うので、本体ではユーザインタフェースを見えないように、ユーザニーズに合わせたUIを別途用意。
マイナー機能もファームアップデートで入れ込む。バグフィックスだけでないと体で示すと、機能が足りなくても早期提供の要望が出るだけで、ネガティブの意見が出にくい。
・開発過程を公開すれば、応援してもらえ、なぜそうなっているのか理解してもらえる
スーパーコンシューマーはユーザ代表とものを作ろう、中心となる人を100%満足させる製品を作ろうというコンセプト。
意図的にバッグの知識を得ていない。知ってしまうとまるい製品になってしまう。使い方を中心に考える。
何をとって何を捨てるという過程をすべて公開する事で熱量が伝染する。
同じ思いを持つ人たちが自分たちのための製品と認識される。外れている人も見える。
・ソーシャルメディアを使ってモノづくりはやっていない。
良品企画では、従来からオウンドメディアでお客様の声は聞いており、すでに意見は膨大にある。
商品点数が多いといちいちユーザの声は聞いてられない状態になる。都合のよいところだけ聞くという形骸化が起こる。
マーケティング的にソーシャルメディアを使ってみている。
7500品目すべてマーケティングはできない。ストック型で意見を蓄え、テキストマイニングなどする。
お客様の声には想定外の使い方で強いニーズがあったりする。
そういう使い方を知って、ロングテール商品をネットで販売するのに役立てる。
特定のバズによって売れ出すことことがある。そういうプラスの体験の蓄積も重要。ビッグキャンペーンだけでない。
・大企業はプロセスを分業しているため、プロセス毎にお客様と接する事が重要
ものを作るというところだけにこだわると見誤る
アイデアストームでアイデアを集めたりしているが、研究開発は米国なのでフォーラムなどは米国が盛り上がる
・成功事例のまねでは成功しない
ソーシャルメディアで声が見つからないは調査不足。ほんとうに0なら撤退すべき。
生の声を継続して見る必要がある。
さらに、コミュニケーションすることによって言ってくれる人が増える。
多く売る商品は最大公約数的になってしまい差別化が難しいので、ブランド好き嫌いで決まってしまったりする。真摯にユーザの声を見ていき、改善やりましたという発信をするのが良いのではないか。
ちょっと長くなったので、AMNの取り組みや感想などについては、別記事で書きたいと思います。