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昨日はソニー本社ビルで開催されたSony Tabletのモノフェローズイベントに参加してきました。モノフェローズイベントではおなじみの本田雅一氏によるクラウドに関する講演とSony Tablet開発チーム代表による開発秘話などがありました。
写真はSony Tablet Pのスケルトンモデル。よく見るとヒンジにもの凄い線が通っていたり、かなりびっしりと基盤や部品が入っていることが分かります。

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ソニーストア


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本田氏のプレゼンは「クラウドが引き起こすデジタル時代の大地殻変動」。ちなみに隣はSony Tabletの国内マーケティング担当でVAIOモノフェローズイベントなどでもお世話になった岩井剛氏。
プレゼンの細かい内容は他の方が書かれているので、ざっくり要点だけ書くとw
・デジタルコンテンツの楽しみ方は、パッケージメディア(CD/DVD/BD)型、ダウンロード型からクラウド型へと進化してきた。
・クラウド型では所有権をクラウド側で管理することで、利用する機器を選ばず、1回購入すれば自分の持っている複数のデバイスで楽しむことができるというユーザ体験が得られる(昔はあたりまえだったのだけど)。
・多様なコンテンツを品揃え、検索できるのに在庫コストがあまりかからず、各種デバイスへの最適化、不正利用検出などもクラウド側でできるため、プロバイダ側にもメリットが大きい。
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・SonyはVideo Unlimited, PlayStation Network, Sony Reader Store※1, Music Unlimited※2といったクラウドサービスとSony Entertainment Network対応機器でコンテンツをいつでもどこでも楽しめる世界を目指しており、Sony Tabletはその中心デバイスとなる製品
 ※1 Sony Reader Storeは日本でも今月末クラウド型になるそうです。
 ※2 Music Unlimitedは定額課金の音楽ストリーミングサービス。日本では開始時期未定。
・クラウドサービスは進化するため、それを快適に長く使えるように設計されたのがSony Tablet。もちろんソニーらしく家電との連携にも力を入れている。
といった内容でした(たぶん)。
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商品開発秘話を語って頂いた面々。右から、
佐藤晃一 ソフトウェア設計部統括部長
岩田比呂志 Sony Tablet商品企画担当部長
水上麗 Sony Tablet Pシリーズ 設計担当
鈴木雅彦 Sony Tablet Sシリーズ 設計マネージャー
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今回のSony TabletはVAIOを始め様々な経歴の人が集結して何年もかけて開発された商品だそうです。いままでSonyを商品名に付けることはタブーだったのに、あえて商品名にSONYを冠して、本体にはSONYとだけ刻印するほどSONYの総力を結集したデバイスとなっているとか。
目指したのは、最高のエンターテイメントコンテンツ体験の提供で、家庭内コンテンツ、オンライン上のコンテンツを自由に楽しめる、「みんなが使える。みんなのタブレット」。
ハードウェアとUIの完成度はとても重要で、みんなが直感的に使えること、持ちやすさ/持ち運びしやすさ、サクサクで快適な操作性、ネットワークサービスやAV機器との連携などにこだわったそうです。
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小型化などはVAIOの経験を活かし、つかみやすさ、持ちやすさなどはやはりモックを多数作成し、最適なサイズを選んだ。子供が多少乱雑に扱っても大丈夫なように厳しめに落下試験や開閉試験などを繰り返し、堅牢性を実現しているのだとか。
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Sシリーズは強化ガラスを使っているためとても丈夫。Pシリーズは強化ガラスではないですが壊れて子供に危険ではないように配慮している。また外装のプラスチックが壊れることで衝撃を吸収し、内部の大切なデータは守るように設計されているそうです。
さらに普通のモノ作りのように仕様を作成して、その通りに製品を作るというのでなく、企画と設計が一緒になって、プロトタイプ的にソフトを作って体験評価してより良くしていくというのを繰り返したのだそうです。
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サクサク感にこだわり、高速化は当たり前でだれでもサクサクつかえるように徹底的にチューニングしているそうです。特にタッチパネルの感度・ノイズ対策などは人によって体質がちがったりもするので、感覚だけでなくしっかり見える化して、だれでも気持ちよい操作感が得られるようにしたのだとか。アップデートによるさらなる改善も予定されているそうです。
ちなみにマルチタッチはSシリーズで10ポイント、Pシリーズが画面毎に5ポイントずつとなっており、このポイント数も性能との兼ね合いで決められたのだとか。
こう聞くと、またAndroidに手を入れすぎて、OSアップデートなどに対応できなくなるんじゃないか?と少し心配になりましたが、主にデバイス周りのチューニングでしっかりAndroidの構造を意識して手を入れているので、OSアップデートなどにも対応できる。
「Sony TabletはAndroid 4.0 (Ice Cream Sandwich)に対応する予定」と明言されていました。
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AV機器との連携の売りの一つが学習リモコン機能。
Sシリーズには、リモコン用の赤外線デバイスが搭載されており、様々な機器のリモコンを学習することでこれ一台で様々な機器をコントロールできます(エアコンの温度設定など難しい機能は学習できないですが)。
うちは前は学習リモコンを使っていたのでこれは良いと思います。実はCELL REGZAやPS3など赤外線でない機器が多くなってしまったので、今はあまり使っていないですが。こういう無線リモコンにも対応すると良いのですが。
残念ながらPシリーズには赤外線デバイスは入っていないそうです。レガシーなデバイスで結構スペースが必要になり入れることができなかったそうです。
またSONYのブルーレイレコーダと連携して、録画番組だけでなく放送中の番組もSony Tabletで見ることが出来るようになるとか(アップデート対応)。タブレットに最適な映像に変換して送るそうで、対応レコーダは限られるそうですが。
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少し触ってみた感想は、以前も書いたので、今回の話を聞いて感じた感想を書きたいと思います。
まず本田氏の仰っていた「1回コンテンツ(ビデオ/音楽/本)を買ったらどんなデバイスでもそのコンテンツを楽しめるように」というのははまさにそのとおりだと思います。
しかしクラウドサービスはSonyだけでないので、どのクラウドサービスでコンテンツを買うべきかというのは悩みどころです。人が集まるサービスにコンテンツも集まり、コンテンツが集まるサービスに人が集まると言う感じに、クラウドサービスの人気は集中しやすいので、鳴かず飛ばずの場合、サービス終了のリスクがありますからね。
SonyグループはPlayStationなどでプラットフォームビジネスの経験が豊富なはずなのに、Sony Entertainment Networkのクラウドサービスについて、ユーザに広げ方にあまり積極性が感じられないのが気になります。
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なぜ、他のiOS機器(iPad, iPhoneなど)やAndroid機器、Macなどに積極的にソフトを出してユーザを獲得しようとしないのか?
ちょっと聞いてところ、
オープン戦略をとっているので囲い込むつもりは無い。Sony Reader Storeは海外ではiOSやAndroid、Macに対応している。Video Unlimitedは著作権管理の仕組みが必要なのでそういう機器をSony Entertainment Network機器としている。PlayStation Networkはソフトが動かないと問題なので、動くことを確認したらCertifiedにすることができる。
というようなお話でした。
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しかし、何となくSONYグループの機器は積極的に対応するけど、その他のメーカーの機器は話がくるのを待っている状態のようだったので、もっと自らほとんどの機器に対応してしまうような積極性が欲しい感じがしました。そうすればマルチデバイスで使えるクラウドサービスとしての価値も向上しますからね。
もうひとつ気になるのが基幹商品であるSony Tabletの価格柔軟性について。3Gを付けたのは回線とのセットによる販促費狙いかと個人的に思いましたが、なぜ自社クラウドサービスの契約縛りで割引販売したりしないのか?とか思います。SONYと銘打ったことで、逆に安売りしにくくなっているような気も少ししますが、使う窓口が少ないクラウドサービスにはして欲しくないです。
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一番気になるのは、「みんなが使える。みんなのタブレット」とか「ユーザ体験重視」とか言っている割には、こんな使い方がとっても魅力的という具体的な話があまり聞けないところです。みんなと言っても、あまり使わないPCの代わりにさくっとタブレットを使いたい人と、スマートフォンでは物足りず、タブレットを持ち運んでいつでも使いたい人ではかなり使い方が違うはず。
この点についても少し聞いた回答は、
さまざまなペルソナを想定し、使い方に応じたソフトのプロトタイプ開発、体験評価を行っている。それらをもとにみんなが使いやすいタブレットを開発した。
といったようなものでした。
もっとこの使い方ならSony Tabletがベストというようなアピールがないと、コンテンツ体験とかAV機器連携とか言っても、これが欲しい!と思うのはかなりマニアな方だけかと思ってしまいます。
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例えば以前、PCが調子が悪いのでどうするのが良いか、iPadに置き換えられないか、という相談を受けている。使い方はAndroidスマートフォンで撮影した写真の閲覧、音楽の視聴、HDビデオカメラで撮影したビデオの視聴、ホームページの閲覧など。
と言われたので、iPadよりはSony Tablet SとSONY ブルーレイレコーダ、Bluetooth キーボード、スピーカーのセットをおすすめしたことがありますが、こういうPCを使わずに写真/音楽/ビデオを扱いたいと言う人には良いと思いますね。AVCHDに対応していればもっと良かったのですが(撮ってすぐに大画面で確認とかもできるし)。
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最後にもう一つ。Sony Tablet Pは2画面あるけど、マルチタスクを2画面別々に表示することは出来ず、対応したソフトで上手く表示した場合有効に使えるにすぎません。これはAndroidの仕様のためということでしたが、2画面というコンセプトをもっと浸透させるために、標準のAndroidへの組み込みとかして欲しい。サクサクに付いてもAndroid自体の改良点があれば標準のAndroidの改良まで踏み込んで欲しい。ぜひソニーからリファレンスタブレットを出して欲しいですね。Androidのせいにしてたりする限りiPadに敵わないと思います。このあたりの情報も気になりますね。
ちょっと気になるところや要望を書きすぎた感がありますが、ソニーが目指している方向性は間違っていないと思いますので、ぜひクラウドもタブレットもセットでなくそれぞれ独立で一番になれるように頑張って欲しいです。
SONY, WillVii, モノフェローズの皆様、ありがとうございました。

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1件のコメント

  1. こんにちは、一つ質問させて下さい。
    下に、Galaxy Nexusの話がありますが、タブレットとスマートフォンで話は
    変わりますが、サクサク感という点では、PとNexusとでは(他の二つもスマートフォン
    も出来れば含めて)、どういう感じでしょうか?
    特に、Webの閲覧をしている時など、いかがでしょうか?
    実は、Kindle Fire待ち(amazon silk待ち)なんですが、、Pの携帯性(バッテリーが
    不満ですが)や、ICS搭載機にも興味があるもので。
    どうぞよろしくお願いします。

    fory
  2. foryさん、コメントありがとうございます。
    細かいところは良く分かりませんでしたが、Galaxy NexusもSony Tablet P / SもWebブラウザの描画は速く、他のAndroid 2.xのスマートフォントとはサクサク感(というか引っかかりの無さ)の印象が大分違い、不満は少ないかと思います。
    Sony TabletよりGalaxy Nexusの方が描画が速い感じで追随性が良い感じがしました。ICSのおかげだと思います。

  3. sayaさん、こちらこそお返事ありがとうございました。
    そうですか、もうすぐTegra3も出るタイミングなので、ちょっとその辺がきにかかって
    いたところです。
    でも、ICSが効いているなら、アップデートに対応するとのことですから、
    より一層、期待出来ますね。
    ありがとうございました

    fory

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