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昨日はAMN主催の「IBM100周年で考えるテクノロジーの未来 ブロガーミーティング」に参加してきました。
IBMシステム製品事業理事の星野氏、OBの中島氏による熱いプレゼン、ITライターの高橋氏、AMNの徳力氏、ブロガーを加えたディスカッション、懇親会などがありました。
以下は、私なりの理解でまとめてみたものですが、理解不足で間違っているかもしてません。


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IBMは今年で創立100周年らしいですね。今までのIBMの歴史を振り返りながら今後の技術を考えるといった珍しいイベントでした。
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IBMのハード事業の柱はSystem/360というメインフレームを1964年に大成功させてから、今に至るまでメインフレームだそうです。メインフレームというと巨大な計算機で、UNIXワークステーションやPCサーバなどに取って代わられた過去の遺物というイメージを持っていたのですが、実は着々と進化を遂げ、現在も海外を中心に販売数を伸ばしているのだとか。
じゃあ、メインフレームの定義は?と質問してみたけど明確な回答は無く、企業の基幹業務用に用いる大規模コンピュータで、ハード、OS、トランザクションなどのミドルウェア、保守機能などがセットになったものとか。保守機能がしっかり始めから組み込まれているのがPCサーバなどとの違いという話も。
実はIBMのメインフレーム事業を揺るがす危機が2度あったらしい。
1つはクローズド化による危機。当初よりソースコードはすべて見える状態になっており、そのソースコードを改変してカスタマイズを行っていた。NASAなどの多くの開発者が現在のオープンソースコミュニティのように改良を加えていくことで、System/360の成功の要因となった。しかしすべてオープンなため、互換機メーカーが現れていたりしたため、保守性の向上を目的にObject Code Onlyとして、ソースコードは提供せずマニュアル、APIだけを提供するようにした。このとき、顧客の大反発を招いてつぶれかかったのだとか。この失敗以来IBMはオープンソースコミュニティなどを大切にして、非常に多くの開発者がコミュニティに貢献しているそう(J2EE, Linux, Eclipseなど)。 ちなみに今のメインフレームはLinuxが動くそうです。
もう一つはダウンサイジングの波。CMOSの登場でパソコンなど小型なコンピューターが発展し、大型で水冷式だったメインフレームは絶滅の危機に瀕したが、同じくCMOSを取り入れ、性能不足を補うために並列アーキテクチャを開発したのだとか。
ちなみにSystem/360登場から間もない1967年の時点でCMSで仮想化を実現している。この仮想化技術や並列技術などを活かして、スケールアウトしにくい処理のスケールアップや基幹業務サーバを統合して保守コストを減らしたいユーザに受け入れられているそうです。さらにPCアーキテクチャも取り込みハイブリッド化して管理を簡単にすることもできるそう。
最近は大規模分散コンピューティングを使ったパブリッククラウドが注目されていますが、逆に少ない台数で基幹業務のパーソナルクラウド化を実現する仕組みとして使われているのだとか。
ちなみに常に次のアーキテクチャの創発を目指しており、IBM-PC/Thinkpadのようにコモディティ化した技術はオープン化したり、外に出していったりするそう。
新しい技術としては、Storage Class Memory (SCM)というのを開発中で、実用化すれば今のハードディスクの数倍のビット単価でDRAMに近いスピードで読み書きできるデバイスができるとか。今までCPU性能やネットワークスピードは向上してきたが、ストレージのI/Oがネックになっていたため、この変化は大きな可能性を生み出す。
さらに、こういう大容量のストレージのまわりに多数のプロセッサを配置し、データの書き込みを契機に次の処理が走るようなデータ駆動型のアーキテクチャも開発中で、2012年に完成を目指しているスーパーコンピューターBlue Water(最低10PFLOPSで以上)にもそのアーキテクチャが取り入れられているのだとか。
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こういった技術でどんどん高速化、高性能化するメインフレームやスーパーコンピューターだが、逆にそんなにスピードが必要か?という状況に陥りつつあるそう。
そこで今までの基幹業務や自然科学のシミュレーション分野だけでなく、人文科学、社会科学といった領域の様々な課題の解決にも使えないか?ということで、「Smarter Planet」を企業ビジョンとして、地球規模の課題の解決を推進しているらしい。そのために不可欠なのが「知」。人間のように考えられるコンピュータですね。
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その取り組みの成果の一例が、IBM Power 7を10ラック使って構築したWatsonが早押しクイズのチャンピオンに勝利したというニュース。ジャンルが決まっていない問題をリアルタイムに解析し、知識を使いながら推論、仮説立て、検証などを行い解答を導き、学習データを使った経験で確信度を評価するというのをやっているそうです。
まだリアルタイムに学習はできず1ヶ月ほど学習させないと行けないそうですが、こういった学習するコンピュータの実現に取り組んでいるらしいです。
IBMってこんなに尖ってオープンな会社だったのですね。今回のイベントでIBMに対するイメージが代わりました。懇親会でもキーマン自ら初歩的な質問に真摯に答えて頂き、また様々な興味深い話を教えて頂き、とても貴重な経験でした。
IBM, AMN, ブロガーの皆様ありがとうございました。


(おまけ)会場のザ・プリンス パークタワー東京から見た東京タワー

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